2018/06/09

ロスパペロテスという店で、ある絵本に出会った話

代々木上原の駅ちかくに、ロスパペロテスという古本屋があります。

はじめは、時間をつぶすためにふらっと立ち寄ってみました。入り口には、あまり特徴のない、どこにでもありそうな本が並んでいます。

そこから店の中へ、ベビーカーがやっと通れるくらいのせまい通路を入ってみます。すると、宝の山のような英語の絵本がありました。

代々木上原みたいにおしゃれな店が並ぶ町で、英語の絵本を選ぶと、少し気持ちよくなる。そんなふうに思いながら、本を探してみます。

どんな本がいいか。単語の数があまり多くなくて、絵がきれいで、読んでいて親も楽しめそうな本がいいなぁと思います。

そうして見つけたのが、"Rain Rain Rivers" でした。

調べてみると、「よあけ」というタイトルが日本でも有名な作家「ユリー・シュルヴィッツ」氏が書いた本です。

雨がふって、その雨はどうなる?、雨のときはどうやって遊ぶ? といった内容の本です。特に感じたのは、銅版画のような細い線で描かれた、きめ細かな挿し絵が美しいということ。

とても欲しくなりました。・・・が、値段を見ると2,500円。

定価はその半額ほどです。古い出版年でしたから、初版かそれに近い貴重なものなのかもしれません。

ウンウンうなりそうなほど迷いましたが、結局買いませんでした。でも、楽しい体験をすることができたのは間違いない。

本屋の後は、代々木公園で寝転がりながらコーヒーを飲み、良い休日となりました。帰ろうとすると子どもが大泣きするのは、いつものパターン。


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2018/06/08

どうしていい器を使うべきなのか、その意味が生まれて初めて分かった

私は今まで、食器というものを意識して使ってきませんでした。

1. いい器に出会うまで

お茶わん、おわん、おかずを乗せる平たいお皿、カレー皿と用途ごとに、使い分けはします。でも、たんなる食べ物の入れ物にしかすぎませんでした。そして、食器は、そのような役割を果たせば十分だと思っていました。

しかし、ある皿に出会ったことで、そのような考えを改めることになったのです。

その皿を見つけたのは、京都四条と五条のあいだにある「木と根」というお店でした。

そのお店は、雑貨を扱うとともに、喫茶店もかねています。以前からずっと、そこの喫茶店に行ってみたいなと思っていました。

何回か訪れたことはありますが、閉店後だったり、休業日だったり、空振りつづき。

今回、ようやくお店が開いている時間に行くことができました。でも結局、着いたときには、喫茶スペースの営業は終了です。

ものすごく気落ちしましたが、せっかく来たのだからと思い、雑貨を見ることにしたのです。

そこで見つけたのが、この皿です。

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実は、もう一枚あった黒い皿も気になりました。ただ、2枚は必要無いなと思ったのです。そこで、より心が動いたこちらの皿を選びとりました。

この皿が、その魅力を放つのは、食べ物を食べ終えた後です。

ふつうは、食べた後の食器は、すぐ流しに下げて、視界から遠ざけたいもの。

でも、この皿の場合は、食べ終えてちょっと汁がたまっているようなサマも、しみじみ見ていたいという気持ちになる。

出会わなければ、こんな気持ちになるということに気づかずじまいだったでしょう。

2. 作者をご紹介

作者の田中茂雄さんは、奈良の明日香の山の中で、陶芸をしています。自宅兼アトリエで、展示販売もしているそうです。

「川口美術」という骨董店のこの記事に、お宅のようすがくわしく書かれています。まさにスローライフそのもの。

あこがれの田舎ぐらしは、あこがれだけで終わりそうですが、この場所は、いつか訪れてみたいです。

もう少し子どもが大きくなればな、と思いつつ。

2018/06/07

ふるカフェ系 ハルさんの休日「栃木・黒磯」マスターとママの魅力の"とりこ"となる

ハルさんが今回訪れたのは、栃木県の黒磯にある築100年の銀行カフェです。

黒磯といえば、宇都宮線の終点であり、東北本線でさらに北に向かうための乗り換え駅です。てっきり黒磯市にあるのかと思いましたが、今では黒磯市は無く、2005年から那須塩原市になっているのですね。

黒磯は、石だらけの街並みです。

石塀があったり、正面は木造に見えても、側面だけ石造りの家があったり。那須連山から吹き下ろす強い風のせいで、昔、黒磯では何回も大火事がありました。そこで、防火・延焼防止のために、石造が用いられたのです。

おめあてのカフェは、全部が石造りです。店の名前は、カフェ・ド・グランボア、住所は那須塩原市本町5−19。

大正モダンを感じさせるこのカフェは、ルスティカ様式の石積みをしています。ルスティカ様式とは、こぶ出しで石に陰影をつける手法。ルネサンス期のイタリアで宮殿建築で多く使われました。

使われている石は、大谷石と地元産の芦野(あしの)石、2つの種類があります。

東京駅にも使われている半円アーチ窓が使われていて、可愛らしい。

ついに自撮り棒を取り出し、高い位置を撮ろうとするハルさん。

カウンターにテーブルが数席と、店の中はそれほど広くないです。でも、格天井(神社仏閣に用いられる格式の高い天井)が使われていたり、かつての銀行としての風格を感じます。

出されたのは、和洋が混ざりあったメニューでした。バターライスに、ひき肉のあんがかかっています。

37年の歴史があるカフェ。元々のお店は、取り壊されてしまったので、今の場所に移ってきました。

マスターのおかげで、この店から、黒磯のジャズが始まったそうです。

最後に、名物ライスの作り方をご紹介。

  1. 豚ひき肉をよく炒め、軽く炒めておいたパプリカ・なす・玉ねぎと合わせる。
  2. しょうゆ・みりんで味付けし、かたくり粉でとろみをつける。
  3. バターで炒めたご飯に大葉を加える。
  4. 盛り付けたら、大葉・白ごま・刻みのりを添えて、できあがりです。










2018/06/06

「女性のアーティスト・研究者は、どのようにキャリアを築いていけばよいのか?」パネルディスカッションをまとめてみた

先日、東京芸大で行われたこの講演会を聞きに行ってきました。(5月26日開催)

第1部は、クローズアップ現代のキャスターをしていた国谷さんの講演でした。ただ、この時は、上野公園で子どもの遊びに付き合っていたので、聞けずじまい。

ちょうど子どもが昼寝を始めたので、第2部のパネルディスカッションから参加しました。

1. データの紹介

まずはじめは、芸術の分野でも、女性の露出が少ないという話から。
Katy deepwell氏の研究成果であるデータをもとに、話が進みます。
  • ドイツの美術大学における教授の割合
  • 画廊における作品のうち、女性作家のもの
  • 美術館の所蔵作品のうち、女性作家のもの
このような項目について、女性が占める割合がいかに低いか、示されました。

この項目について、使われたスライドは、このサイトで見ることができます。

2. どうすれば志を持たせられるか

それでは、芸術系(美術と音楽)の女子学生に、どうすれば志を持たせられるのでしょう。言いかえれば、どのようにキャリア設計を促すことができるのでしょうか。

東京音大では、1970年代から競争原理を持ち込みました。その結果、「せっかく技量を身に着けた女子学生を家庭に戻してしまう」という傾向は弱まりました。ジェンダーバイアスが薄れたのです。

東京音大では、教職員の採用昇進に男女差は無いそうです。

 3.  アーティスト・研究者に必要な力とは何か

芸術分野においてキャリアを築くうえで、不可欠なスキルや知識とはなんでしょうか。また、それらを養う方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

東京音大では、音楽を演奏すること以外にも、さまざまなスキルが必要だと考えています。それを、自己のパッケージ化と呼びます。

自分自身を社会の中で活動できる存在に育て、そうした自分を社会に提示していく力が必要だと考えているのです。専門分野ですぐれているというだけではなく、他の分野の能力と組み合わせることで、その人の個性が発揮されます。

東京音大では、ミュージック・リベラルアーツ専攻という学部をもうけています。
この学部では、
  • 高度な専門実技
  • 英語スキルの獲得
この2つを目指しています。英語スキルの獲得とは、「英語による教養科目」「英文による卒論、制作」です。言葉によって発信する力をもつことが、東京音大のめざすアーティスト像だといえます。

このような力をつけることで、当然、音楽以外の他の分野でも活躍できるのです。

こういったカリキュラムは、美術の分野では難しいのでしょうか。ある美大のパネラーは、言語化をすれば良いとは考えていない、言葉を使わなくても自分の世界観を提示できるのではないか、と答えていました。

4. 実現するために必要な環境とは

女性のアーティスト・研究者が、キャリアを築いていくために必要な環境は何でしょうか。

というテーマでパネラーの人が話しましたが、聞き手の私の注意が散漫になってきたので、箇条書き。

  • 女性らしい〇〇という形容は残念
  • 管理職になることは一つの例だがそれだけではない 
  • セクハラ問題は、声を上げて来なかった自分たちの責任でもあるかも 
  • 女子学生が望んでいることは、意外と保守的である。例えば、東京音大卒業生の傾向を見ると、男性は、音楽活動に進む割合が高く、女性は企業に進む割合が高い。
  • 後輩たちへのアドバイスとして、継続すること・冒険することが大事

5. まとめ

国立音大の人だけが、きちんとスライド資料を用意して、アピールをしていたので、自然と印象に残ります。ミュージック・リベラルアーツ専攻にかける熱い想いが伝わりました。

音楽だけではない、プラスアルファの発信力が大切だ、という考え方は、今のSNS(ソーシャルネットワークサービス)時代にもふさわしいものです。