2017/04/28

ふるカフェ系 ハルさんの休日「東京・中野」 地域の人の居場所作りを地道にやっている、その集大成がここにある

中野といえば、中野サンプラザ、または中野ブロードウェイが有名なところです。私も、オタク活動に熱心だったころは、よくコンサートのために訪れていました。

そのように、中野は文化の発信地です。または、ビルの立ち並ぶ都会というイメージがあります。

しかし、今回訪れたカフェは、そのような中野のイメージをくつがえすものでした。

お店の名前は、モモガルテン。住所は、中野区中央2丁目57−7。あの堀越学園の目の前にあります。

今まで訪れた店を地図にした、ふるカフェマップはこちらから。今回分を追加しました。

モモガルテンは、築およそ70年、二軒長屋を改築したカフェです。

遊歩道に面したこのお店。二軒分という長さを生かして、開放感のあるテラスです。水槽には、金魚も泳いでいる。

店の中に入ってみると、壁を取り払って、中の空間もひろびろしています。

この番組で取り上げられてきた、ほかのカフェは〇〇造りだとか、特徴がありました。でもこのカフェは、見た目はただの民家です。

しかし、トイレの引き戸の上にさらに洋風のドアをつけるなど、改築に遊び心が発揮されています。

改築をしたのは、中西道也さん。古民家の改築を数多く手がけています。古い建物を残すことは、自然を残すことに近い、と語ってくれました。そうは言っても、ただ単に残すのではなく、自分のしたい工夫ができるのが良いのだそうです。

お店のおすすめのメニューは、店主が半日かけて煮込んだカレーです。玉ねぎを炒めるためだけに、1時間を使うというのだから、ものすごい。練馬大根の産地だからか、たくあんが付いてきます。

店の前の道は、昔は桃園川という川だったのだという話を聞いていると、ゲストで森比左志さんが登場しました。

どんな方なのかと思うと、絵本作家だということ。超有名作品である「はらぺこあおむし」の翻訳家、「こぐまちゃんシリーズ」の共著者だと知りました。

ちなみに、世田谷美術館で、はらぺこあおむしの作者「エリック・カール展」をやっています。見にいくのが楽しみ。

森比左志さんはこの店は、安らぎ、憩いの場所だと言います。

お店のご主人は、昔、区のケースワーカーをしていました。ケースワーカーとは、日常生活で困難を抱える人の相談にのったり、援助をしたりする仕事。区役所を退職してから、この店を始めたのだそうです。

地域の人の居場所作りをしたいと思って始めたこのお店。その望み通りの店になっているようです。

話は変わって。
1970年に「沖縄 郷土の家」が誕生してから、中野には、沖縄の人が多く住むようになりました。やがて、沖縄の祭も開催されるようになり、今でもそれは続いています。

そこで、琉球音楽の専門家でもある妻の明美さんが、三線を披露してくれました。彼女は、沖縄芸術大学付属共同研究所の肩書を持っています。

オリエンタルなメロディに聞き入っていると、時間がたつのも忘れ、すっかりあたりは暗くなりました。

お店は、午後6時には閉店となっています。ご注意を。

ではでは。

次回は、桐生のふるカフェです。


2017/04/23

「ふるカフェ系 ハルさんの休日」で訪れた店を地図にしました

タイトルの通り、地図を作ってみました。

お店の名前、住所、電話番号、Webサイトのリンク(作っていない場合は食べログ)などをのせました。マーカーをクリックすると、これらの情報がポップアップされます。

下を↓クリックすると、地図が開きます。
ふるカフェマップ

行ったところは主に関東ですが、その中でも固まらずにあちこちに行っているのだなと、感じます。

2017/04/21

ふるカフェ系 ハルさんの休日「神奈川・中央林間」 米軍ハウスって何?

今日訪れたのは、中央林間にあるふるカフェです。築50年ほどの米軍ハウスを改修したお店です。

店の名前は、FLATHOUSEcafe(フラットハウスカフェ)、住所は、大和市中央林間3丁目16−2。

米軍ハウスとは何でしょうか。ざっくりいうと、「基地の外部にある民営の賃貸物件で平屋か2階建のもの」で、間取りがアメリカ人向けになっているものをさすそうです。(Wikipediaより)

中央林間は厚木基地にほど近いため、アメリカ風の建物をところどころで見ることができます。よくあるのが、ランチハウス様式と呼ばれる建物です。これは、戦後アメリカで大流行した大衆住宅で、左右非対称の平屋です。そして、なだらかな勾配の屋根が特徴です。

お目当てのカフェは、白い壁に赤いドアが彩りをそえている、そんな建物です。屋根を見ると、日本の普通の民家です。これが米軍ハウスとは信じられません。玄関には、靴を脱ぐための段もあり、やっぱり和風。(お店なので、土足で上がれます。)

常連客におすすめされたのは、ミートローフ。

水道業を営んでいるこの常連さんは、米軍ハウスの思い出を語ってくれました。

ミートローフの作り方は、ひき肉に玉ねぎなどを混ぜタネを作ります。牛乳と混ぜたオートミールをつなぎとしてよく混ぜます。型にスライスしたベーコンを敷いて、タネを詰め、オーブンでじっっくり焼いて出来上がりです。

うずらの卵を目玉のように埋め込んでいて、ちょっと可愛らしい見た目です。

このお店には、大学の先生も興味を持っています。神奈川大学教授の内田青蔵さんが、解説してくれました。先生の専門は、日本に建てられた西洋建築です。

普通の日本の建物なら、バス・トイレは玄関の近くにあります。でも、この家ではバス・トイレが奥の方にあったり、米軍ハウスの特徴を教えてくれました。先生の見立てでは、この家は、いずれ日本人にも貸せるように和洋折衷にしたのではないかということです。

取り壊しの危機にあったこの建物をよみがえらせたのが、今のお店のスタッフたちです。廃材を集めて改修し、2011年にオープンしました。

先ほど常連として紹介されたおじさんも、店づくりに大いにかかわったのでした。

なお、このカフェのある建物には、「ガジェットモード」というお店が入っているようです。イギリスのヴィンテージ雑貨を扱っています。

ではでは。

ふるカフェ系 ハルさんの休日「東京・錦糸町」 ものづくりの街で生き残るための方法とは何か

今回訪れたのは、錦糸町にある古民家カフェです。

錦糸町は、ハルさんが学生時代に過ごした街。それから何年かが経ち、今では駅前に背の高いビルが並んでいます。でも、一歩路地を入ると昔から続く町工場があったりするのです。

目指すカフェは、立ち並ぶビルに挟まれるようにして、そこにあります。2階建ての、築60年、店舗兼住宅の建物です。話はそれますが、このようにビルの谷間に残る建物のことを「ど根性ビル」と呼んだりするようです。

店の名前は「すみだ珈琲」(お店のブログにリンクします)。住所は、墨田区太平4丁目7−11。

木枠にガラスがはめられたドアを開けると、木に囲まれた空間が目に入ってきます。京都の町屋のように、奥まで続きます。

上を見上げると、そこには根太(ねだ)天井。これは上の階の床板を下の階の天井に利用するものです。床板を支える横木がむき出しになっています。

建物がゆがまないようにするための「方杖(ほうづえ)」と呼ばれる補強材もむき出しです。飾り気のない、質実剛健な印象を受けます。

かつては、靴やわらじを作る町工場だったこの建物。

今では、照明にもガラス細工を使い、江戸切子と呼ばれるコップを並べています。このカフェの店主の実家が、ガラス工芸を営んでいるからです。創業120年にもなるそうです。

熱いコーヒーでも飲めるように、ホット飲料専用の江戸切子を開発しました。

お店で出されるお茶受けには、野菜の砂糖漬けもあります。5日もかけて作るこのお菓子は、墨田区の人たちに愛されています。この砂糖漬けは「梅鉢屋」のものでしょう。

かつては、9,700もの町工場があった墨田区。確かに、今では工場の数は減りました。

しかし、今でも続くところはあるのです。天然素材のブラシを作る工房や、子どものための安全なハサミを作る職人など、現代のニーズに合ったところは人を引きつけています。

ではでは。

次回は、米軍基地の町に生まれたカフェです。

2017/04/10

ふるカフェ系 ハルさんの休日「京都・西陣」 誰もが名前を知っているこの町が、新しく生まれ変わっている

レギュラー放送が、ふたたび始まりました。「ふるカフェ系 ハルさんの休日」
正月の特別番組では、金沢に行きました。それを見て、魅力的な放送だったので、またいつか毎週見たいなと、心待ちにしていました。

今日訪れたのは、京都・西陣にある築90年、国の登録有形文化財カフェです。店の名前は、「さらさ西陣」。(お店の公式サイトにリンクします)

住所は、京都市北区紫野東藤ノ森町11ー1  です。京都駅から北に7km、大文字山を望む場所にあります。京都御所からみると北西にある店です。

お店の玄関の屋根は、唐破風(からはふ)です。唐破風とは、日本で生まれた流線型が特徴の屋根で、お寺や城によく使われる形です。軒下には、曲線の木材が使われています。これを茨垂木(いばらだるき)といい、見栄えをよくするための造りです。

また、梁には模様が彫られ、優美さを際立たせています。虹梁(こうりょう)と呼ばれる技法で、お寺の建築でよく見かけます。

このお寺みたいな建物が、元は、どんな使われ方をしていたのか気になります。

建物の中に入ると、天井は、格天井(ごうてんじょう)になっています。壁には、緑色のタイルが使われ、ピンクがかった赤色の花が描かれています。このタイルは、マジョリカタイルと呼ばれ、近代イギリスで生まれた装飾タイルです。日本では大正から昭和10年代まで生産されていました。

タイルと、高い天井、大きな吹き抜けから想像できるように、ここは銭湯として使われていました。京都では、平安時代から湯屋と呼ばれる銭湯がありました。昭和の時代には、多い時で350件もの銭湯があったそうです。

ほとんどの銭湯は、宮大工によって作られました。ですから、唐破風があるなど、お寺のような外観をしています。今回訪れたカフェは、平成11年まで営業していた銭湯です。

番組では、銭湯らしいメニューとして、フルーツ牛乳が取り上げられていました。このフルーツ牛乳は、お店で手作りしたものです。牛乳に加えるのは、パイナップル・みかん・桃・バナナの4種類のフルーツと、はちみつ・砂糖。材料をミキサーにかけて完成です。

店で使うランチョンマットは西陣織です。西陣といえば、西陣織の産地です。もちろん、今でも工場が現役で動いています。

時代をさかのぼると、応仁の乱のあと、西軍の陣地の跡に織物職人が集まったことから、西陣織と呼ばれるようになりました。

西陣織は、分業制をとっており、糸を染める専門の人がいます。そのお店は糸染め店といいます。また、糸の本数・長さをそろえる人もいて、整経(せいけい)と呼ばれます。職人同士のコミュニケーションを図る場所として、銭湯がとても大切だったと、思い出話に花が咲きます。

他の多くの伝統工芸と同じように、西陣織も、衰退してきました。そんな中で、街を盛り上げようと、西陣織の工場見学ツアーが行われているのです。 また、このカフェができたことで、雑貨店やゲストハウスなども誕生するなど、波及効果も出ているようです。京都自体が、観光客が増加していることもあり、その恩恵も大きいように感じられました。

このカフェは、お茶だけではなく、ちゃんと食事ができる店です。和定食がおいしそう。京都ならではの白味噌のみそ汁、さわらの西京漬け、千枚漬けなど、見ているだけでお腹がすいてきました。

妻の実家が大津なので、個人的には、京都がすごく身近な存在になっています。西陣はまだ行ったことがないので、このカフェを含め、街並みを楽しみたいと思いました。

ではまた。