2018/06/30

ふるカフェ系 ハルさんの休日「東京・西荻窪」名人によって今によみがえった古民家カフェ

今回、ハルさんが訪れたのは、都会の中、駅の近くのふるカフェです。

店の名前は、りげんどう。住所は、杉並区松松庵3丁目38−20。

屋根は、桟瓦(さんがわら)、最も多く使われている、ありふれた瓦です。外壁は、下見板張り(したみ・いたばり)。板を重ねて貼ることで、雨が入り込むのを防いでいます。

塀は、大和塀。正面から見ると、まったく中が見えない。でも、板が筋違いに貼ってあるから、風は通るというすぐれものです。昭和の初めに流行ったらしい。

この建物は、いわゆる文化住宅のように見えます。文化住宅とは、大正時代に、洋風の生活を取り入れた最先端の住宅のことを言います。

玄関は、中が良く見えるガラス戸。

足を踏み入れてみると、建具は和風です。レトロな空間が広がっています。

ハルさんが、いなり寿司と紅茶を注文をしていると、そこに現れたのは見覚えのある顔。

東京・あきる野の回で登場した、一級建築士・酒井晢さんです。酒井さんは、多摩地域の洋風建築に詳しい方。

酒井さんといっしょに、この建物をもっとくわしく見てみたいと思います。

文化住宅の特徴の一つは、今までの畳中心の生活ではなく、イスを使う洋風の生活をイメージしているということ。現在の住まいの原型と言えます。

この建物が文化住宅だった、ということを示す跡がないか、建物を中を探検してみるハルさんと酒井さん。でも、けっきょく見つけられませんでした。

そこに来たのは、大家の尾崎美穂子さん。答え合わせをします。

この建物は、土地を借りていた家族が建てたものだそうです。家族が住まなくなったので、尾崎さんのお父様が譲り受けました。

でも、建築基準法に引っかかって建て替えることができず、そのまま残されていたのが、カフェに生まれ変わったというわけ。

もともとの間取りは、日本家屋でした。1階は和室2間。娘さんの代になって、2階を増築しました。


さて、ランチをいただきます。かわいらしい見た目、少しずつの量が何品かあって、女性客向けです。


ここで、お店のオーナーが、メニューや内装について紹介してくれました。

テーブルには、変わった模様がついています。これは、型友禅で使われていた版板です。テーブルの脚には、鉄のレールが使われていたり、雰囲気づくりがうまい。

調べてみると、この松場夫妻は、石見銀山生活文化研究所という会社を設立して、アパレルなど、いくつもの事業を動かしています。

古民家の再生も、10軒ほど手がけていて、使う建具にも細かい気配りが行き届いています。ガラス戸の模様を1枚だけ変えてみたり。

松場さんは、「復古創新」という理念を掲げて、過去・現代・未来を見ながら、古い良いものを未来に生かしていこうとしているのです。

昔ならどこにでも普通にあったような古民家が、現代ではなかなか見ることができない素敵な空間に生まれ変わっていました。