2018/04/05

ふるカフェ系ハルさんの休日「東京・あきる野」 多摩の山が生んだ家がいかに素晴らしいか

今回訪れたのは、東京・あきる野市にある洋館カフェです。

武蔵五日市駅から歩いて10分と少しのところに、その建物はあります。カフェの名前は「小机亭喫茶室 安居(あんご)」住所は、東京都あきる野市三内490です。

築142年のすて"木"な、つまりは木造の白い洋館カフェです。いろいろなふるカフェをめぐってきた ハルさんですが洋館は初めて。

雑木林の中を抜けると、白くて可愛らしい、おしゃれな洋館が目に飛び込んできます。

コロニアル様式の建築です。日本でも明治期以降、長崎や神戸などの外国人居留地の住宅で用いられた様式です。

天井は、菱組天井になっています。富岡製糸場にも使われている形です。

建物を正面から見ると洋館です。でも、側面は蔵のように見えます。

玄関を入って、目を引くのが「こて絵」です。こて絵とは、左官職人が漆喰で作りあげたレリーフです。ウサギの絵がかわいらしく、また、雲がたなびいています。

階段の「蹴上(けあげ)」と呼ばれる側面にも、美しい彫刻が施されています。

今は使われていないけれど暖炉があったり、階段を上ると洋間があったり、洋風の要素があります。

内開きのフランス窓や、ローマドーリア式の柱などが特徴的です。

ここで、突然登場したのが、酒井晢さんです。日野市の一級建築士で、古い建物に詳しい方です。

この洋館のような建物は、擬洋風(ぎようふう)建築と呼ばれます。日本の棟梁たちが洋館を見よう見まねで作った建築のことを言います。

擬洋風建築が作られたのはわずか10年間。歴史に残る貴重な建物です。現在では、東京都の有形文化財に指定されています。

メニューはフルーツを添えた自家製チーズケーキとコーヒー。まあ、普通のメニューです。でも、この圧倒的な手の込んだ建物を見たら、それだけで満足しそうです。

ご主人の小机篤さんは、林業をする家に生まれました。この家は、先祖が銀座煉瓦街にあこがれて、マネをして建てたものです。

材木の中には、質は素晴らしいけれど、見た目が悪くて商品にならない材木があります。この家には、そんな材木が使われています。

小机さんは、「山にある木を切り出し、苗を植えることを繰り返すこと。そのことによって山が守られる。」と語ります。

最後に登場したのは、染物職人の森博さんです。黒八丈と呼ばれる染め物を作っています。

この染め物は、「ヤシャブシ」という木、地元の泥を使い、秋川の水を使って作られます。まさに、地元の恵みから生み出される逸品です。

森さんは、一度は途絶えた黒八丈を現代風にアレンジし、今に生かしています。

多摩の山のめぐみが、いかに素晴らしいものか、感動しっぱなしの30分間でした。

次回は、山梨・北杜(ほくと)です。