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2016/04/15

オイコノミア「ベストコンディションになる!経済学」を見て。リハビリ的なブログ更新です。

最近、残業が多く、ブログを更新する熱意がなくなりかけていました。年度をまたいで、人事異動により、ものすごい忙しい毎日です。

「ブログを更新するなら、1,000文字くらいは書かないとダメ」といったネットでのアドバイスを目にしていたので、そんな長文は書けないから、更新するのをやめておこうという気持ちに傾いていたのです。

そんなときに見た、オイコノミアは、コミットメントの大切さを強調する内容でした。
コミットメントとは、何かをやろうと思った時や、何かをやろうとする時には、まずやろうとする事を宣言します。そして、宣言することでより責任を持つものにすることです。(引用元)

「必ず毎日ブログを更新する」と、ここで宣言すれば、少しはやる気が戻るのかも。

そうは言っても。宣言しても、さぼる時は、さぼってしまうわけで。

そこで、「小さいことでもコツコツと積み重ねていくことが大事である」。
このことを思い返すことが重要です。オイコノミアで、ゲストの武井壮さんが熱く語っていました。文字数にとらわれずに、更新しようと決めたのでした。

2016/03/23

オイコノミア「“ズル”い事件の経済学」を見て。ズルをする人とそれを防ぐ人のせめぎあい。

2015年度を締めくくる言葉として、又吉さんが選んだのは、「ずる」です。大きな筆で、力づよく「ずる」と書く又吉さん。(画像は、公式サイトにて)

今年も、企業の不正会計問題、オリンピックのエンブレム問題、フォルクスワーゲンの排ガス規制問題、FIFAの贈収賄問題、横浜のマンションでの「くい打ち」データ偽装問題など、数多くのズルが明るみになりました。
ごく最近では、ショーンK氏の経歴偽装問題が大きな話題を呼びました。


経済学からみるとズルについて、どのようなことが分かるのでしょうか。
その一つは、誰でもズルをする可能性があるということです。

1. ズルされ続けた間寛平さんの「お人よし」エピソード

ここで登場したゲストは間寛平さん。又吉さんが、初めて好きになった芸人とのこと。

寛平さんは、何度もズルをされてしまったのでした。

「歩くはんこ屋」と呼ばれるくらい、すぐ保証人になってしまう。保証人になって背負った借金は6,000万円になったのです。

借金を返そうと考え付いたのが、「アメマバッジ」というバッジを作ることでした。
「アメマバッジ」とは何か―テレビ番組で自分が演じていた「アメママン」というキャラクターをかたどったバッジです。

しかし、その番組が打ち切られるなどして、売れるという見込みは大外れ。630円の仕入れ値で、定価1,500円で売ろうとしたということで、値段が高すぎたのでしょうか。

10万個も作ってもらう契約をしていたので、大量の在庫を抱えることになりました。バッジを作った業者から、製作代金の支払いを求められて、ついには裁判になったのです。そのあたりの詳しいいきさつは、日刊ゲンダイのこのサイトで

2. そもそも人はなぜズルをするのか

この問題について、経済学の考え方で答えを出そうとした人がいます。それが、アメリカの経済学者ゲーリー・ベッカーです。

彼は、「シンプルな合理的犯罪モデル」というものを考えました。それは、どのようなものか。

「ある会議があり、時間ぎりぎりだったので、駐車違反をしないと会議に遅刻してしまう」という状況があったとします。このとき、駐車違反(ズル)をすることで得られるメリットと、こうむる損害(コスト)を比べて、ズルをする価値があるかを計算しているという考え方です。

ズルをすることで得られる利益・・・例えば、会議に間に合うことで自分のメンツが保たれるということ
ズルにより受ける損失・・・駐車違反の罰金(運よく払わないで済むかもしれない)
この利益と損失を比べて、利益の方が大きくなる場合に、犯罪をしてしまうのだと考えます。

この考え方によれば、ズル(犯罪)を防ぐための方法はカンタンです。
駐車違反の場合を例にとると、違反することで受ける損失が利益よりも大きくなるようにすればよいのです。

例えば、
  • 警察官の数を増やす
  • 監視カメラを取り付ける
  • 罰金を高くする
といった方法が考えられます。

この、「シンプルな合理的犯罪モデル」に対して、反論したのが、ダン・アリエリーです。
彼は、行動経済学の面から、疑問を投げかけました。人が罪をおかすときに、そのように冷静に利益と損失を比べているのか疑わしいというのです。

彼は、ズルのメカニズムを解き明かすために、次のような1~4のステップで実験をしました。
  1. 数学の問題を20問、解いてもらう。
  2. 自己採点したうえで、解答用紙をシュレッダーにかける。
  3. 問題を解いた人が、何問解けたか自己申告をする。
  4. 一問正解するごとに1ドル支払う。
このような条件で出題した場合、被験者が自己申告した解答数は、平均7問でした。ほかの人に、条件をつけずに、ほうびもあげずに出題したときは、平均4問正解です。

この実験から、アリエリーは、「少数の悪人がたくさんズルをしたのではなく、多くの人が少しズルをしたのだ」と結論付けました。この実験について、このサイトを参照しました。

寛平さんも、似たような経験があるそうです。
大勢の人を集めて、レースに出てもらい、各自のタイムを自己申告させました。タイムの良い人には、豪華賞品を渡すことにしました。すると、商品を渡す段になって、上位者みんなが「嘘のタイムを申告していました」と告白したのです。

これらのことから、多くの人は、ばれないときでも少ししか嘘はつかないということが分かります。悲しいけど嬉しいともいえます。でも、少しの不正が積み重なると、問題が大きくなってしまうわけです。

3. ズルをふせぐ方法はあるのか

それでは、どのようにすれば、人のズルを防ぐことができるか、考えてみます。
例えば、一緒に暮らしていて、他人のシャンプーをこっそり使う人がいるとき、それを防ぐためにはどうすればいいでしょうか。

又吉さんと同居しているサルゴリラ・児玉さんの告発によれば、なんと、又吉さんが児玉さんのシャンプーをこっそり使っているらしいのです。

合理的犯罪モデルから考えると
  • 監視カメラ
  • シャンプーを部屋に持ち帰る
  • シャンプーを鍵のついた箱に入れる
こういった方法があげられます。でも、大げさだったり、実行するのが難しかったりします。

行動経済学から考えると、どうでしょうか。
行動経済学では、人の道徳心に訴える方法をとります。例えば、シャンプーに目玉のシールを貼って、ズルして使おうという気を無くさせます。こんなシールです。引用元


 









アメリカの実験では、モーゼの十戒を読ませてからテストを解かせると、カンニングが減るといった結果が出ています。

最初に「私は嘘を書きません」ということにサインさせてから、内容を書かせると、正直な申告を促すことができます。

4. おまけ

「ずる」ってあまり、いい響きではないですね。来年は、どういう言葉で締めくくりましょうか、と大竹先生に聞かれて、「うんばらばー」でと答える寛平さんなのでした。

2016/03/16

オイコノミア「人脈づくりは怖くない!」

春は、別れと出会いの季節。人脈を築くためにどうすればよいか、経済学の視点で考えてみます。

舞台は、千葉にある航空科学博物館で、ゲストに、春香クリスティーンさんを迎えてお送りします。

友だちの作り方が分からないという春香さん。又吉さんも、上京したてのころは、まったく友だちがいなかったと返します。

皆さんは人脈という言葉に、どういうイメージを持っていますか。
春香さんは、「人脈」って派手なイメージがあり、「人脈のある人は成功者」と考えています。そして人脈作りはカンタンなことではないと思っています。

そして、「飲み会を途中で抜けて、外に出て、会の終わりころにまたもどってくる」という根暗なエピソードで盛り上がる春香さんと又吉さん。二人とも同じ経験があるようです。私も共感しました。

1. 人脈を形にしてみる

人を○におきかえて、人と人とのつながりを線で表してみます。一人と一人の関係は、○―○のように表すことができます。
人脈が豊かな人からは、この線が、何本も伸びます。

ここで質問です。あなたが世界で一番会いたい人は誰でしょう。
この問いに、春香さんは「ドイツのメルケル首相」、又吉さんは「マラドーナ」と答えました。

それでは、自分から何人の人を仲介すれば、会いたい人に会うことができるでしょうか。

この問題についての研究によれば、平均6人を介せば、世界中どこの人とでもつながるとされています。

そのことを実証する実験は、数多くあり、なかでも有名なのが、イェール大学の心理学者スタンレー・ミルグラム教授によって1967年に行われた実験です。
 この実験ではネブラスカ州オマハの住人160人を無作為に選び、「同封した写真の人物はボストン在住の株式仲買人です。この顔と名前の人物をご存知でしたらその人の元へこの手紙をお送り下さい。この人を知らない場合は貴方の住所氏名を書き加えた上で、貴方の友人の中で知っていそうな人にこの手紙を送って下さい」という文面の手紙をそれぞれに送った。その結果42通 (26.25%) が実際に届き、42通が届くまでに経た人数の平均は5.83人であった。(wikipediaより)
この実験に対しては、世界がつながっているのではなく、アメリカ国内がつながっているだけじゃないかというツッコミがされました。

2002年に、ダンカン・ワッツらが行ったのは、eメールを使った実験です。この実験では、10万人近い被験者を募り、世界中の指定された目標にむかってメッセージを送るように指示を出したのです。その結果は、平均6人で到達するというものでした。(参考サイト)

そして、現在のSNS時代。Facebookがミラノ大学と共同で行った調査では、平均4.74人を介せば全ユーザーとつながることが判明したのです。(ニュースサイト調査結果原文)

このような、人間関係のつながりは、なんだか、飛行機の路線図のようにも見えてきます。











国内線で例えてみると、羽田空港のように数多くの空港と結ばれている空港がある一方、離島のように一つの空港としか結ばれていないところもあるのです。羽田空港のような、ネットワークの中心にある空港のことをハブ空港と呼びます。

人間関係にも、知り合いが多い人と少ない人がいるわけで。知り合いの多い人は、ハブの役割をしているといえます。そのようなハブの役割をしている人と知り合うだけでも、その先に人脈が広がる可能性があります。

又吉さんは、知り合いの後輩が多く、1対1で、しばしば顔を合わせることによって、つながりを築くように努力しているそうです。

2. 人のつながりで就活する・採用する

人間関係のつながりを、採用活動に生かしている企業もあります。
番組で紹介された会社は、ユニークな採用方法をとっていました。求人広告を出すのではなく、社員の知り合いを採用するという方法です。この方法のメリットは

  • 会社にとっては、採用するためのお金や時間が節約できる
  • 働く人にとっても、知れたメンバー・知れたスキルの持ち主といっしょに働くことができる
ということがあげられます。
このような採用方法を構築した会社として、番組ではリクルートが紹介されました。こういった採用システムは、リファラル採用サービスと呼ばれ、日本でも広がりつつあるようです。(参考サイト)

今いる社員と新入社員の間で、働き初めから良い関係があり、その状態で仕事ができるので、すぐれた方法であるといえます。

3. 「強いつながり」「弱いつながり」

人間関係の強さ(濃さ)に着目した考え方として、有名なものがあります。マーク・グラノヴェッター氏が唱えた、「弱いつながりの強み」という考え方です。

人間関係には、親子や親友といった強いつながりのほかに、たんなる知り合いといった弱いつながりがあります。グラノヴェッター氏は、有益な情報をえるためには、弱いつながりで結ばれている人を利用した方がよいと考えました。なぜなら、強いつながりを持つ人どうしは、同じ情報を共有することが多く、新しい情報を手に入れることが難しいからです。

参考サイト"ITmedia エンタープライズ","wikipedia"

この「弱いつながりの強み」という考え方は、現代のSNS時代にはとても適した発想です。「弱いつながりの強み」を実感をともなって知ることとなったのは、東日本大震災が大きいといえます。このとき、必要な物資やボランティアについての情報の多くが、SNSを通じてやり取りされたのです。

2016/02/17

オイコノミア「勉強するのは誰のため?教育の経済学」 貧困の連鎖から抜けるための1つの方法があります

きょうは、教育について考えてみます。勉強するのは、もちろん、まず第一に自分のためです。でも、自分のためだけでしょうか。これがテーマです。

冒頭で、又吉さんが「2015年 フェリス女学院中学校」の問題を解いてみます。
あなたがこれまで学校で学んだ教科の中から二つ以上をあげ、それらをゆう合させるとどのようなことが学べると思うかを180字以内で自由に書きなさい。
解答例はのちほど。

1.  ICTを使った教室

ICTとは、Information Communication Technologyの略で、情報通信技術ということです。

まず、番組で紹介されたのが、未来の教室(FUTURE CLASS ROOM)のデモンストレーションです。この教室は、内田洋行が提案している商品です。正面の黒板だけではなく、まわりの壁もモニターになっていて、動画を映すことができるので、未来を感じます。

内田洋行というと、なじみのない社名かもしれませんが、一般のオフィス用品のほかに、学校では机・いす、ビーカーなどの理科教材を手がけている会社です。

そして、学校での取り組みとして、筑波大付属小学校が紹介されました。

2. 勉強は何のため?

ここで登場したのが、厚切りジェイソンさんです。
わたしは、バラエティはイッテQくらいしか見ないので、彼の雄姿をテレビで見たのはこれが初めて。お笑い芸人というよりは、上場会社の役員さんとして知っていました。(横道にそれるけど、リンク先にある「厚切りジェイソンさんの一言アドバイス」は、見ておいて絶対に損はない)

ジェイソンさんが、自分の4歳と1歳の娘に、日本で教育を受けさせるかどうか悩み中とのこと。

まず、勉強は何のためにするかを考えます。

憲法にも、子に教育を受けさせることが義務である、と書かれています。
なぜ、ここまで強く、教育が必要とされているのでしょうか。

それは、教育には、外部性(=金銭のやり取りなしにほかの人に利益・損失が生じること)があるからです。
教育の外部性とは、教育を受けた本人だけではなく、社会全体にメリットがあるという意味です。

教育のおかげで、経済力が上がったり、犯罪率が下がったり、技術革新が進んだり、いいことづくめです。

このようなメリットがあるから、教育に公的資金(税金)をつぎこむことが望ましいのですね。

ここで、日本の状況をみると、GDPに占める教育機関への支出割合が、3.5%となっています。OECD加盟国の平均が4.7%であることを考えると、これは低い数字です。日本は、6年連続で最下位なんだそうです。引用元

このように低い数字となっているのは、「教育は誰のためか」についての考えがそれぞれの国で違うためです。

ヨーロッパでは、教育への投資はいずれ社会に戻ってくると考えています。ですから、多くの国で、大学までの学費が無料だったり、とても安かったりするのです。参考サイト

「日本では、教育は私的財」「ヨーロッパでは、教育は公共財」と分けることができます。

3. 教育にお金がかかりすぎる問題

教育を「投資」として考えると、将来豊かになるためには、教育は良い投資です。ただし、結果が出るまでに時間がかかるという弱点があります。

ジェイソンさんは、次のように指摘します。日本では、高齢の政治家が多いです。そのため、自分が生きているうちに教育の効果は出ないから、教育にはあまりお金をかけなくてもいいやと思ってしまうのではないか。

そして、教育は、お金がかかりすぎる投資でもあります。

子どもは、2人、3人と欲しいのに、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」作れないと答えた母親が60%を上回っています。(「国立社会保障・人口問題研究所」の調査。詳細はこちら)

自治体の中には、がんばって教育に多くの投資をしているところがあります。
番組で紹介されたのは、品川区立の小中一貫校(豊葉の杜学園)です。小学1年生から中学3年生までが同じ教室の中で過ごす、というめずらしい様子が放送されました。

ちなみに、ウィキペディア情報では、全国にけっこう小中一貫校があるんですね。私の住んでいる埼玉県川口市では、耳にしたことがないから、世間知らずでした。

品川区では、小中一貫教育のおかげもあってか、5歳から15歳までの子どもが、過去10年の間に20.4%も増えています。これは、東京23区平均の6.4%を大きく上回っています。

品川区長の濱野 健氏に又吉さんがインタビューしました。
市長の話では、学校側が、保護者に対して「うちの学校はこんな特色があります」というメッセージを出すようになったのが大きな変化だということです。学校が自分たちを選んでもらうために、学校の特徴を露出するようになったのです。このような取り組みは、日本全体の教育のレベルアップにつながるのではないか、と濱野市長は考えています。

4. フタコブラクダ問題(学力格差の二極化)

これは、クラスの中で、勉強ができるグループとできないグループの2つに分かれてしまう問題です。
この問題について、坂東太郎氏の意見がよくまとまっていました。

又吉さんは、別の物差しではかれば、勉強ができない子の能力を正しく評価することができるはずだと考えます。そして、人間として、勉強以外の能力が大切になる場面もあるのです。確かに、それも一理あります。

5. 又吉さんが日能研を訪問

学校の勉強のほかにも、どうして塾に行くの? ジェイソンさんが疑問に思っています。

文部科学省の調査により、小6で4割近く、中3で7割近くの子どもが塾に通っていることが分かりました。(この調査、親と子ども合わせて10万人以上を対象にした大規模なものです。教育行政に生かされているかは不明)

そこで、又吉さんが、大手学習塾の日能研をおとずれます。入試問題を題材にして、電車の中に広告を出すことで有名な塾ですね。

国の政策に左右されない教育を追求することができるのが、塾のいいところです、と日能研の人。学校の勉強では足りないところをおぎなうのが塾の役割だと考えています。

ここで、さきほどのフェリス女学院中学校の問題について。
又吉さんの解答は、こんな感じでした。
サッカーが学べます。「算数」によって、味方と敵の関係が数的有利にあるか不利にあるかを把握し、「音楽」で学んだリズムで味方との呼吸を合わせ、その応用で相手のリズムを狂わせます。サッカーはほとんどの日常で起こることの例えとして使えるので、人生も学べます。 ※中略
略する前のもとの文は、180字を超えてしまったので、残念ながらバツがついてしまいました。内容は、ほめられていたのですが。

6. お金がないと勉強できないの?

塾へ行くのも、お金がかかります。
文部科学省の調査によれば、公立中学校の学習費は約48万円で、そのうち塾などの学校外の活動費は約31万円です。この10年間の中で、もっとも高額になりました。

また、放課後をどう過ごすかも、家庭の経済事情に左右されます。収入の多い世帯の子どもの方が、より高い学歴を手にできるという調査もあります。

現在、子どもの6人に1人が相対的貧困の状態にあるといわれています(引用元)。とくに「ひとり親」の家庭では、貧困率が高くなります。そのため、学びたいと思っていても学べない子どもがいるわけです。

そのような子どもたちを支援する公益社団法人として、「チャンス・フォー・チルドレン」が紹介されました。

この団体では、集めた寄付を元手に、クーポン券を発行しています。このクーポン券は、塾や習い事にだけあてることができ、子どもたちの学習の機会を確保しています。お金で受け取ると、親が生活費などにあててしまうかもしれませんから、これは良い取り組みです。

活動の実績としては、一人あたり15万円~30万円のクーポンが、のべ1,000人の子どもたちに配られたそうです。

お金のない家庭の子は、「自分のうちにはお金がない」ということを分かっていて、自分の教育のためにお金が使われることに後ろめたさを感じてしまう。でも、このクーポンでは、そういった後ろめたさを感じずに学べる点がすぐれているのです。

2016/02/09

オイコノミア「モテの極意」 相方の綾部さんは直接からまずVTRです

今回のオイコノミアは、ちょっとテイストを変えて、恋愛について考えます。
もちろん、経済学の視点から。

「自分からグイグイ行きたくなることが一番幸福です」と語る又吉さん。

せっかくモテ期がきているはずの又吉さんのために、男女の関係を分析し、もっとモテるようになることをめざします。ゲストは、ピースの二人と親交の深いYOUさんです。

そして、VTRで相方の綾部さんが登場しました。

1. モテるってどういうこと?

経済学の考えからすると、モテるということは、需要が多くて供給が少ない状態です。
つまり奪い合いになる状態のことをさします。

今回は、「需要と供給」をキーワードに恋愛を考えます。

「モテ学 研究者」として、相方の綾部さんが、解説して下さいます。
綾部さんがすぐれているところは何でしょうか。

まず、1つめのポイントは、女性の好みが20代から60代までと、いわゆるストライクゾーンが広いこと。
そして、「センスがあるだけではなく、モテるための努力をしたから今の結果があるのだ」と、綾部さんは自信満々に語ります。

この綾部さんの考え方は経済学的にいうと、
  • 「ストライクゾーンが広い」→市場が大きい
  • 「モテるための努力が大事」→研究開発
このように表すことができます。

YOUさんによれば、女性の心をつかむためには、何よりもマメであることが大事なんだそうです。

2. シグナリングがたいせつ

そして、モテの極意として、シグナリングが重要になります。
シグナリングとは、情報を持っている側が、情報を持っていない側に対して、自らのよい性質を伝えようとすることです。

例えば、「自分はおしゃれだ」ということをアピールするためには、どうすれば良いでしょう。
ただ、自分の口で言うだけでは足りません。ジャケットやシャツをうまく着こなし、相手に伝える必要があるのです。

3. 恋愛をマーケット(市場)として考えてみると

恋愛においては、相手が自分に気があるかを判定したり(スクリーニング)または、相手をじらして気を引く(メンタルアカウンティング)、そんなテクニックも大事です。

ただ、何よりも欠かせないのが、出発点である出会いを増やすことではないでしょうか。

出会いを増やすためには、どのように行動したらよいのでしょう。

ここで、登場するのが、「シック・マーケット理論」。
ノーベル経済学賞を受賞した、ピーター・ダイアモンド氏が提唱したものです。

この理論は、次のようなものです。
「厚みのある市場」つまり、参加者がより多い市場の方が取引の成立する可能性が高い。
市場に参加する場合には、このような参加者の多い市場に参加したほうが、より多くの成果を手にすることができる。

これを恋愛にたとえるなら、まずは、自分を欲しがってくれる人が多い場所を選ぶべきです。さらに、自分も相手のことを魅力的だと思えることが多い場所を選ぶことが望ましいのです。

それがどういう場所なのかと考えると、例えば、フットサルとか共通の趣味で出会うやり方です。

もちろん、自分にまったく合わない趣味をむりやりする必要はありません。

4. デートの場所選び

恋愛のきっかけは、デートになるわけですが、では、どんなところでデートしたらよいのでしょう。
私も、とくにこれといった方針もなく、「そこそこおしゃれなレストランで」と決めていました。

この問題に、綾部さんが、いいアドバイスをくれました。

初めから相手の食べ物の好みがわかっている場合は、それに合わせます。
好みが分からない場合は、「恵比寿で鍋」、これが良いそうです。

鍋でもしながら、ゆっくりと相手の好みを聞き出して、次のデートでは相手の好みに合ったお店へ誘うわけです。

食べログで、「恵比寿のバレンタインデートにぴったりの鍋のお店」を探しておきました。

このリストが、あなたの恋愛研究の手助けになれば幸いです。

ではでは。


次回のオイコノミアは、「勉強するのは誰のため?教育の経済学」

2016/02/02

オイコノミア「そのお稽古 役に立つ?」

子どもに習わせるおけいこごとって、どんな意味があるのでしょうか。
そして本当に役立っているのでしょうか。

今回のオイコノミアでは、そういったことについて考えます。

ゲストは、つるの剛士さん。6歳、8歳、10歳、11歳の4人の子をもち、それぞれにおけいこをさせているお父さんとして、登場しました。

1. つるのさん・又吉さんが自分のおけいこを語る

まずは、子どものころに何を習っていたかを紹介。
 つるの・・・3歳ころからクラシックギターを父親に習った
 又吉・・・小学校3年からサッカーを始めた

では、二人は、(1)子どものころ、おけいこについてどう感じていたの?
そして、(2)いま振り返るといいことがあった?
 つるの・・・(1)イヤイヤ教えられていた。
        (2)音感やリズム感が養われた。
 又吉・・・(1)初めはしんどかったが、途中から楽しくなった。
              (2)今の人生に生かされている。

経済学では、おけいこには2つの面があると考えます。
ひとつは、今の楽しみのためという「消費」の面。
もうひとつは、将来に役に立つためという「投資」の面です。

子どもが楽しめて、そのうえ将来の役に立てば理想ですね。

2. おけいこの現場で

ここで、30個近いおけいこ教室が集まった子育て支援施設「グロースリンクかちどき」が紹介されました。

どうしておけいこをさせているのか、何人かのお母さんにインタビューしてみます。
  • したいことをやらせる。
  • 自分は泳げないので泳げるようになってほしい。
  • 運動をやらせたい。女の子らしくなってほしい。
  • 字がきれいになってほしい。元気な女の子になってほしい。
そして、つるの家の次女のおけいこスケジュールを紹介。
なんと、1日2時間のおけいこを週5日もやっているとのこと。

それだけやっていると、一体いくら使うのかが気になります。
さすがに、つるの家の「ふところ事情」までは、明かされませんでしたが
番組では、家計に占めるおけいこ費用の割合が紹介されました。

引用元は、ここです
アクサダイレクト生命「 第2回 子どものおけいこ事に関する意識調査」

これによれば、世帯年収に関係なく、平均して収入の7~8%をおけいこに支払っているとのこと。

年収600万円なら、月4万円近くという計算です。すごい金額。

ただし、これは、平均値のマジックだと思います。
1回目の調査をみると、収入の5%未満しかおけいこ費にあてていない世帯が、世帯全体の70%前後を占めています。

ようは、多額のおけいこ費を使う少数派の世帯が、平均値をだいぶ押し上げているのです。

それでも、多くの世帯が、少なくない額をおけいこにあてています。

3. 「5歳までのしつけや環境が人生を決める」

だからこそ、効率的にいい結果になるようなおけいこをさせたいものです。

そこで、経済学では、いつ子どもに教育をさせるか、という研究が注目されています。

代表的なものは、ノーベル賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究です。
ポイントは、「5歳までのしつけや環境が人生を決める」。

研究内容の詳細を調べようと思って検索しました。
なんと、オイコノミアでおなじみの大竹文雄先生が、ヘックマン氏の
研究を日本に紹介したそうです。くわしくはこちら

研究によれば、5歳までに適切な教育で土台を作ると、その後の能力が身に付けやすいとのこと。

研究の一環として、貧困家庭に育ったアフリカ系アメリカ人の3歳・4歳の子を対象に、教育プロジェクトで学習させます。
彼らのその後を、40歳まで追ってみると、
  • 14歳の基礎学力
  • 高校卒業率
  • 40歳の月給2000ドル(約24万円)以上の率
  • 40歳の持ち家率
などにおいて、プロジェクトで学習していないグループと明らかに差がついたというのです。

ただし、知識をつめこむ学習をすべきというわけではありません。
氏の研究によれば、「5歳までの土台作りは、非認知能力を伸ばすことが重要」だそうです。

非認知能力とは、学力・記憶力といった「認知能力」以外のものです。
具体的には、協調性・やる気・社交性・自制心などがあります。

それでは、非認知能力はどのように伸ばすことができるのでしょうか。
玉川大学の大豆生田(おおまめうだ)啓友教授に、又吉さんが聞いてみました。

教授は、非認知能力を伸ばすためには、たとえば泥だんご作りのような「遊び」が関わってくると考えています。

幼いころの遊びの体験が、小学校にあがってからの「積極的に向き合う力」「将来につながる力」といった力に生かされるとのことです。

ここで、又吉さんが次のような話をしました。子どものころ、自分で新しい遊びを考えて、友だちといっしょに遊び、みんなに喜んでもらったという経験が今につながっているというのです。

又吉さんの話は続きます。
初めはできなかったリフティングも、練習を重ねて600回もできるようになった。
その経験が、何度も本を読んで意味を理解しようとする姿勢につながった。
名作を数多く読んだおかげで、自分の書く文章のおかしいところが分かるようになり、そこを何度も修正することで、良い文章が書けるようになった。

良い文章を書くために、サッカーを始めたわけではないのです。
ものごとに向き合う姿勢そのものが大切なんですね。

大人は子どものために、先を考えて「何かさせなきゃ」って思います。
しかし、子どもにとっては、今、何かに夢中になること、熱中すること、興味や関心を持つことが大切なのだと、教授も指摘します。

4. 続けさせるか? 辞めさせるか?

おけいこの大きな悩みどころですね。
インタビューを受けたお母さんたちも苦労してるみたいです。

そこで、どういうごほうびをあげれば、子どもにとって効果的でしょうか。
  1. 成績が良かったらあげる
  2. 宿題をしたらあげる
正解は、"2"で、すぐ手に入るごほうびが効果的なんだそうです。
その理由は、人間は、将来よりも目先のことを優先させる傾向があるからです。

このことを「双曲割引」と呼んでいます。そして、「双曲割引」は、大人よりも子どもの方により強く見られます。

ここで、子どもにやる気を出させるコツとして、つるの家の天才的な
アイデアが紹介されました。それは・・・

子どもそれぞれに貯金箱を置いて、つるのさんがお金を入れていきます。このとき、子どもの頑張り次第で、貯金箱ごとに入れる額を変えるのだそうです。
そして、それを月1回、子ども同士で見せ合うとのこと。

それでも、子どもがおけいこを続けたくない場合はどうでしょうか。
途中でやめたら、今まで払った分が無駄になってしまう気がします。

このような場合、「すでに支払ってしまって取り返しがつかない」費用のことを、経済学では、「サンクコスト」と呼びます。サンクコストにこだわりすぎると、さらに損してしまうことがあるのです。

向いていないと思ったら、割り切って辞めてしまうのも一つの方法です。
時間やお金をほかのことに使えばいいわけです。

5. おけいこと「文化資本」

又吉さんが、たとえ話をするときに、サッカーを例に出すように、おけいこが自分の「言語」になるという面もあるのです。

仮に職業に結びつかなかったとしても、おけいこが自分の言葉になって生きる糧となります。

このように個人の中に蓄積された文化的素養を「文化資本」と呼びます。文化資本により、人生をより楽しめるというわけです。

つるのさんも又吉さんも、ご両親が共通の趣味を通して出会ったとのこと。
文化資本が、男女を結びつけることもあるんだという話で、番組は締めくくりました。


子どものおけいこという問題は、私にとっても、数年後には向き合うことになるはず。思わず、力を入れてまとめてみました。


次回のオイコノミアは、「モテの極意」。モテるために綾部さんが実践していることとは・・・。

2016/01/05

オイコノミア「人生が豊かに!?副業の経済学」

今回は、副業について、経済学の側面から考えてみます。

冒頭では、「どんな副業をしてみたいか」についての
街頭アンケートが紹介されます。

1. 副業している人は、どのくらいいるのでしょうか

紹介されたデータでは、2011年の時点で、約2割の人が
副業をしているとのことです。

この数字は、結構多いなと、私は感じました。
それでも、2009年の時点では、3割の人が副業をしており、
2011年よりもさらに高い数字です。

なお、副業の収入は、1~3万円が、全体の6割を占めています。


ここで、ゲストに、高田延彦氏が登場します。

氏は、大皿料理やジンギスカン料理の店を手掛けたものの
失敗してしまいました。

失敗した理由としては、(1) 副業として手掛けるには重い事業だった
(2) 本業に悪影響が生じてしまった と振り返っていました。

2. どのようなものが副業として適しているのでしょう

カンタンな方法として、次の4項目について、チェックして、
判定するやり方があります。

(1) 何を
(2) なぜ
(3) いつ
(4) どこで

副業に興味がある人は、試してみてください。

私の場合は、(1) ブログを (2) 文章力アップとおこづかいのために 
(3) 仕事が終わったら (4) 自宅で となりました。
といっても、現時点ではブログの収入なんて無いのですが(笑)

これをチェックすることで、なぜやるかの目的をはっきりさせることが
でき、副業選びの失敗を防ぐことができます。

番組では、副業をカンタンに始められるウェブサービスとして、
ココナラが紹介されました。

3. 副業の経済学的な意味について考えます

副業を経済学的な面でとらえると、どのような役割があるのでしょうか。

副業は、「リスクを分散させる投資」だといえます。

これは、どのような意味でしょうか。

まず、経済学において、リスクとは、「結果にバラツキがあること」
を指します。
つまり、ある事柄がどのような結果になるかが確実ではない
という状態のことです。

副業で考えてみると、例えば、コンビニのバイトであれば、
○○円の時給を手にできるという結果になるのが確実だと
言えます。
一方、飲食店経営であれば、いくらのもうけを手にできるかは
確実ではありません。

経済学的な面では、コンビニのバイトは、リスクが小さく、
飲食店の経営はリスクが大きいといえます。

そこで、本業のリスクが大きい場合には、リスクの小さい副業を行う、
本業のリスクが小さい場合には、リスクの大きな副業を行う
といったように組み合わせて、
リスクを分散させて、安定した利益を得ることが考えられます。

4. 副業の法律的な面

最後に、副業の法律的な側面について考えてみます。
番組では、安藤先生の双子で弁護士をしている圓道至剛氏が登場しました。
ひげの有る無しは違うものの、顔と体型がそっくりです。

副業は、会社によっては、就業規則で制限されていることがあります。

番組では、就業規則で副業禁止とされていても、年に1, 2回の副業であれば
認められるとされた例や、
副業として数時間の深夜労働をしたために解雇された例が
紹介されました。

副業禁止が認められる例・認められない例として

2015/12/29

オイコノミア「笑う門には福来る “笑い”の経済学」

ゲストは落語家の「林家たい平」氏です。

経済学では、意外にも、笑いに関する研究が多いという話から。
番組は始まります。

お笑いと景気・生産性

まず、お笑い番組の放送時間とGDP成長率との間には相関関係
がある、つまり、不況になるとお笑い番組の放送時間が増えるという
研究成果が紹介されました。

参考として、日経新聞の記事を紹介します。
なぜ今お笑いが受ける――安くて楽しい不況時に評価(エコノ探偵団)

景気が停滞した時期にお笑いブームがやってくる例として、
次のようなものがあります。
(1) 漫才ブーム 1981年頃
(2) 深夜お笑い番組ブーム 1990年頃
(3) お笑いバトルブーム 2000-2004年頃
(4) ショートネタ番組ブーム 2010年頃

行動経済学の研究でも、笑って幸せになると生産性が高くなる
とされています。

そのことを裏付ける実験として、同じ程度の成績の生徒を2つの
チームに分けて、片方にはコメディー番組、もう片方には風景映像を
見せた後、計算問題を解かせたら、コメディー番組を見た方は
正答率が10.5%アップした、という例があるそうです。

行動経済学とは何か

ここで、行動経済学とは何か、少し詳しく見てみます。
伝統的経済学では、人は皆、合理的で利己的(ホモ・エコノミクス)とされています。
確かに、マーケットで生き残るのはそういう人かもしれませんが、
大多数の人は、感情で生きています。

そして人は、しばしば、経済的合理性ではなく、感情により行動が
変わることがあります。そのような側面を取り入れたものが、
行動経済学です。

最近、アメリカ合衆国では、大統領令として、
「アメリカ合衆国は国民の生活のために行動経済学などの知見を
政策に取り込む」とうたわれているほどです。

なお、この大統領令の内容を詳しく紹介しているサイトが、こちら
(東京大学政策ビジョン研究センター)

行動経済学の用語として、「メンタル・アカウンティング」というものがあります。
これは「心の会計」とも呼ばれ、人のお金の使い方は必ずしも
合理的なものではない、という行動経済学の考え方です。

例えば、野菜を買う時は、10円の違いでもどちらを選ぶか悩むが、
洋服を買う時には、10円の違いは気にしないなど。
こちらのサイトで、詳しく説明されています。

落語の中の経済学

経済と関わるような落語として、「千両蜜柑」がとりあげられました。
話の筋は、

ミカンを食べたいという若だんなのために、番頭が買い求めるが、
時期は夏のこと。町にはミカンなど売っておらず、ようやく見つけた
ミカンは、「千両(現在の価値で1億円)なら売る」と言われ
買うのだが、……。
この話では、価格と価値の違いが描かれています。
価値は、相対的(人によって何に価値を見出すかが異なる。例えば、
真夏にミカンを食べようとする人もいる。)ですが、
価格は決まっているものです。

そして、価格が、ある人にとっての価値を下回っていれば、
つまり、ある人にとってお買い得と感じられるなら、値段がいくらであろうと
買いたくなるのです。

又吉さんのエピソードとして、こんな話が紹介されました。
「高いけれど欲しい服があった。まだ買えないから、セールまで待ちたい。
でも、セールが始まったら売れてしまうのではないか。
そんな心配をしていたのに、服はセール後も結局売れずに残っていた。」

笑いとは何か

経済学者、ピーター・マグロウの研究は、「笑いとは無害な逸脱である」
と結論づけています。
日本では、桂枝雀が「笑いとは緊張と緩和である」と唱えました。

マグロウは、笑いを研究するために世界中を回ったそうですが、
こちらのサイトに面白くまとまっています)

日本では、コントトリオ「パンサー」のピーター尾形が面白いと思ったそうです。
私は「パンサー」って初めて聞いたので、思わず動画を見てしまいました。

いいね。


笑顔とは何か・笑顔の効能

番組では、「本物の笑顔とは何か」について考えてみました。
ここまでくると、だいぶ経済学から離れた気がしますが、気にしない。

 デュシェンヌ・スマイルというものがあります。これは、

  1. 口角をあげて
  2. 目の端にカラスの足跡のようなシワを作る
というものです。

アメリカの高校の卒業生を対象にした調査では、卒業アルバムの写真で
デュシェンヌ・スマイルがどれくらいできているかによって、
卒業後の生活を比較してみました。

すると、デュシェンヌ・スマイルができている人は、平均27歳で結婚し、
52歳の時点で結婚生活は順調、生活の満足度は高い。
また、心身ともに健康である傾向も高い。といった結果が出たそうです。

歳をとるにつれ、デュシェンヌ・スマイル度が高い女性は、
有能で心理的にも安定し、成功するために努力をしている。
また、嫌なことがあっても立ち直るのが早い。

調査結果から、以上のように結論付けられました。


笑い・笑顔は、ここまで重要なものなのですね。改めて身に染みました。


2015/12/21

オイコノミア「短気は損気"怒り"の経済学」

今日のオイコノミアは、「怒り」の功罪について、
経済学の側面からみてみます。

1. 前園氏が登場

ゲストは、元サッカー選手の前園氏です。
番組の冒頭から、氏の暴行事件の話になります。
スポーツ紙の紙面まで使って煽るEテレ。

2. マテラッツィ効果とは

まずは、怒りのプラス面・マイナス面について、
最新の経済学研究の成果が紹介されます。
その名も「マテラッツィ効果」

マテラッツィ効果とは何でしょうか。

2006年のサッカーW杯において、相手チームのジダン選手を
挑発し、その結果、ジダン選手がマテラッツィ選手に頭突きし、
ジダン選手が退場させられたという事件がありました。

このように、ジダン選手を退場に追い込んだマテラッツィ選手の
振る舞いから、マテラッツィ効果という言葉ができました。

マテラッツィの行為は、ジダンを怒らせて、ジダンだけではなく
フランスチームをメンタル面で力を発揮できなくさせ、
弱体化させる作戦だった。

行動経済学では、こう考えるようです。


ウリ・ニーズィー教授の研究では、怒ることで、
  • メンタル要素の強い競争 →生産力が下がる
  • フィジカル要素の強い競争→生産力が上がる
といった現象が見られるとされています。この点からすると
サッカーでは、メンタルの側面が勝敗に大きく影響すると
言えそうです。

3. 「怒り」の経済的なマイナス面

次に、怒ると、公共の利益に協力しなくなる場合が多いという
ことが紹介されます。
題材は、「公共財ゲーム」
ゲームのルールの詳細は、こちらのサイトに譲ります。

利己的なふるまいの方が有利だとわかると、初めは利他的に
行動していた人も、次第に怒りを感じて、利己的にふるまうようになる
という実験が行われました。

4. 怒りをしずめるために、するべきこと

テーマは変わって、人の怒りをしずめるにはどうすればいいか、
クレーム対応のロールプレイが行われました。
この辺は、経済学という感じではないですが、ビジネス上の
処世術とということで、とりあげたのでしょう。

クレーム対応のポイントは、以下の3点です。
(1) 真剣に相手の話を聞く
(2) 謝罪する
(3) 共感(逃げない姿勢)
これによって、相手の怒りが軽減します。

一方、自分の怒りをしずめるためには、どうすればよいかについても
紹介されました。
このテーマは、私にとっても大いに参考になりました。

前園氏が、例の謹慎期間中に、アンガーマネジメントの研修を受けて
自分の怒りを理解しコントロールするすべを身に付けたことから
話が始まります。

企業研修の場でも、怒りをしずめるためには、怒った直後の6秒を
乗り切ることが大切だと言われているそうです。
怒った感情を、うまく解消しないと、ネガティブな思考が強まって、
その後の活動にもマイナスだということが深く理解できました。

では、怒りをしずめるために、どういう方法をとればよいのでしょう。
番組では、「壁に止まったハエの目線」になって、自分を振り返ると
客観的に見つめることができ、冷静になって怒りが大きくやわらぐ
という研究結果が紹介されました。

逆に、怒ったときの状況を自分の視点から振り返っても、かえって
自己中心的になり、怒りが強くなるだけで逆効果だそうです。

5. 「怒り」の経済的なプラス面

最後に、怒りの感情が、マイナス面ばかりではなく、
プラスの面があることも紹介。

(1) 不確実なことでも確実性が高いように感じる
(2) 自分で周りのことをコントロールできると感じる
(3) リスクを取る傾向がある

例えば、副作用が怖くてなかなか踏み切れなかった治療に踏み切れたりと
怒りの感情には良い面もあるようです。


次回のオイコノミアはこちら「"笑い"の経済学」

2015/12/14

ほんとに喜ばれるプレゼントの選び方 オイコノミアより

今週のオイコノミアは、「ほんとに喜ばれるプレゼントの選び方」
クリスマスシーズンならではの企画です。

番組内では、受け取ったプレゼントの価値は、実際の価値から
13%割り引いて(安く)感じられるという研究結果が示されていました。
これを、死荷重といい、取引(この場合は物の贈与)によって
本来生じるべき余剰が失われている、といえます。

なお、この研究では、親しい友人からもらったプレゼントでは
価値の減少は小さく、遠い親戚からのプレゼントでは、価値の減少
が大きくなったとのことです。
(参考文献 行動ゲーム理論入門 著者:川越敏司)

儀礼的に行われるお歳暮や、お中元で無難な商品を選ぶことに
なってしまうのも、この理論から説明できます。

贈り物の価値を高める方法としては、自分の大切なものを犠牲にして
相手に心を込めた贈り物をするのが良いと、説明されていました。
「賢者の贈り物」がその好例と言えます。

言うだけなら簡単ですが、さて実際贈るとなると、どうしましょう。
相手の欲しがっていたものを買ってあげるのが、無難なところです。