2016/01/18

玉三郎の花魁は健在です@1月大歌舞伎

今月の歌舞伎座は、壽初春大歌舞伎ということで、
会場も華やかな雰囲気につつまれています。












夜の部に行ったので、演目は、次のとおりでした。

  1. 猩々
  2. 秀山十種の内 二条城の清正
  3. 玩辞楼十二曲の内 廓文章 -吉田屋-
  4. 雪暮夜入谷畦道 -直侍-

「二条城の清正」で、松本幸四郎とその孫の金太郎が
共演していて、
金太郎は10歳なのに、けっこうな長ぜりふをよどみなく
こなしていて立派だったとか、

書きたいことは、いろいろある中で、特筆すべきは
やっぱり玉三郎です。

1. 廓文章 -吉田屋- あらすじ

今回、玉三郎は、くるわぶんしょう(通称「吉田屋」)に、
花魁(おいらん)の「夕霧」役で出演しています。
おいらんとは、吉原遊廓の遊女の中で地位が高い人です。

まず、この話のあらすじを紹介します。引用元はこちら
遊びざんまいの結果、親から勘当を受けた伊左衛門
(いざえもん)は、みすぼらしい姿で、久しぶりに
恋人の夕霧(ゆうぎり)のいる吉田屋を訪ねます。
夕霧は他の客の相手をした後、やっと伊左衛門のもとに
やってきますが、伊左衛門は嫉妬して夕霧をののしります。
やがて勘当がゆるされたという知らせとともに千両箱が届き、
伊左衛門は夕霧を身請け(みうけ)します。

 2. 玉三郎の花魁すがた

この物語のクライマックスは、久しぶりに会った伊左衛門と
夕霧が、座敷の中で、追いつ追われつしながら、
いちゃいちゃする場面です。

玉三郎の夕霧(引用元)















この作品では、義太夫・清元といった、三味線・朗読部隊が
大活躍します。話のスジは、彼らによって語られます。
そのため、主人公たちのセリフは最小限にとどめられて
いるのです。

そのおかげで、伊左衛門の「やさ男」っぷり、そして、夕霧の
気品がきわだちます。

今回見た玉三郎の夕霧は、豪華絢爛な衣装で、正月の
演目らしい華やかさをいろどっています。

もちろん、玉三郎の体の反らしかた、身のこなしによって、
花魁としての、優美さ、気品が舞台の上であふれていて、
夢の世界にひきこまれてしまいました。

思えば、祖母といっしょに、私が二十年近く前に歌舞伎を
見はじめたとき、玉三郎の花魁すがたのとりこになって
しまったのです。

今回の舞台で、そんな思い出がよみがえってきました。

正直、玉三郎のセリフ回しには衰えを感じてしまう今日このごろ。
しかし、天女を思わせるような立ち姿は変わらぬ気品を
たたえているのでした。