2015/12/21

ちきりん氏の「年齢差10歳で出会わせよう!」を読んでの異論と考察

ちきりん氏のブログが、「年齢差10歳で出会わせよう!」という
タイトルで更新されました。

 ざっくり要約すると、次のようになります。
(1) 出生率を上げるためには、結婚組数を上げる必要がある
(2) 結婚組数を上げるためには、結婚する気が高まっている世代の
 背中を押してあげればよい
(3) 結婚する気が高まっている世代は、女性なら29歳くらい、
 男性なら39歳くらいである。
(4) そこで、それらの年代が出会う機会を作ってあげればよい。
 なんなら、一人当たり100万円の報奨金を出せばよい。

1. 主張の問題点は何か―統計を手がかりに

わりと熱心にちきりん氏のブログを読んで、考えを新たにすることが
多い私ですが、今回ばかりは、むりやりだなと感じました。

まず、自分(男)の考えの出発点としては、10歳も年上の男性と結婚したがる
女性は、少数派だということ。

「Yahoo!お見合いでの私の活動」という超局地的なデータですが、
39歳の私が、10歳くらい離れた女性に10通メッセージを出して、
断りの返事が1通、無反応が9通でした。

これだけでは、まったく信憑性がないので、
結婚についての統計をみてみます。
初婚夫妻の年齢差別にみた年次別婚姻件数













(クリックして拡大します)

(引用元)厚生労働省「人口動態調査」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001137969
上記サイトの表9-14

7歳以上年上の男性と結婚する女性は、今も昔(45年前)も全体の1割です。
現在では、むしろ、「女性が男性より年上の結婚」の割合が増えています。
100万円の一時的な報奨金で、この意識が変わるとは思えません。

また、表9-13を参照すると(数字は2014年)
結婚生活に入ったときの初婚夫妻の年齢別にみた婚姻割合(%)










(クリックして拡大します)


25-29歳の女性が、35-39歳の男性と結婚する割合は、
30-34歳の男性と結婚する割合のおよそ6分の1となっています。

出会いの場を設けるのは良いと思いますが、報奨金まで出して
力を入れるべきことのようには思われません。

予算の面からいっても、年間の結婚組数(初婚)が50万組弱ですので(表9-5)、
約1兆円を要することになります。

以上をふまえて、私の考えとしては、29歳の女性を39歳の男性と結婚させるのは、
困難である、ということになります。

2. 少子化対策について考えてみる

ちきりん氏が、テーマとしているのは、少子化対策ですから、それについて
私の考えを述べると、

(1) 結婚を多額の費用を出して促すのは無駄である。最終的には、個人の問題
 なのだから、出会いの場などの最小限の関与にすべき。

(2) 少子化は避けられない。

(3) ドイツのように移民を受け入れるつもりもないし、フランスのように事実婚を認めて
 少子化対策をするつもりもないのだから、少子化を受け入れるべき。
 (夫婦別姓すら受け入れられない社会が事実婚を受け入れられるわけがない)

(4) よって、手厚い年金のような福祉はあきらめて、長く働ける環境を整備するべき。
 働けなくなった人には生活保護で手当てをする。

以上のようになります。